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農業高校で講演会|ベルデが考える、自然を活用した持続可能な観光振興への取り組み

ベルデの講演活動

アウトドアライフを『お仕事』にする、ベルデの活動についてお話しました

三重県大台町のアウトドア旅行会社「ベルデ大台ツーリズム」では講演活動も行っています。2021年には農業高校やスポーツツーリズムに取り組みたい市町村に向けて、ベルデの取り組みをご紹介。どんな経緯で講演会をすることになったのか、また講演会の内容についてご紹介します。

声の大きさには自信があるベルデです!

三重県の農業高校から講演会の依頼が

普段はアウトドアガイドとして、お客さまの登山や川遊びをサポートしているベルデ。その一方で最近では、こうした講演の依頼もいただくように。今年の夏には、三重県の教職員組合から「農業高校の先生たちにベルデの取り組みについて講演してほしい」という依頼が舞い込みました。

なぜ農業高校に? ちゃんと接点があったんです

農業高校とアウトドア旅行会社という取り合わせは、一見、接点が無いように思えるかもしれません。ベルデも、最初にお声がけいただいたときは首をかしげました。

ですがよくよく伺ってみると、「一次産業である農業と自然を観光資源にしているアウトドアツーリズムはリンクする部分が多い。農業以外にも自然の活用があるということを先生に教えて欲しい」という意図でのご依頼だったのです。

なるほど、そういえばベルデのアウトドアの師匠も「究極のアウトドアは農業だよ!」と言っていました。

そう考えてみると農業高校の先生方は、いずれは農業や林業、畜産・水産業の事業主になるかもしれない生徒たちに、経営者としての発想を学ばせたり、持続可能な自然の活用法について考えさせることも行っているはずです。

であれば、ベルデの取り組みは、何らかの参考になるかもしれない。お話ししたことが、いつかどこかで子どもたちの役に立てば嬉しいな、という気持ちでお引き受けすることにしました。

農業もアウトドア観光業も、自然を商品にしている

直前まで話す内容に悩んだベルデですが、「三重県大台町のアウトドアをライフワークに」というテーマで資料を作成。農業などの第一次産業が、自然資源の持続可能な活用を仕事にしているように、アウトドア事業者も、自然資源の持続可能な活用をめざしているんだよ、というのをお話ししようと考えたのです。

迎えた講演会当日、嬉しかったのは聴講する先生方の中に「ベルデのSUPツアーに参加したことがありますよ!」と言う方がいたことです。依頼元は県の職員さんでしたが、ベルデの活動を実際に体験してくださっている先生が現場にいたことは、ちょっとしたサプライズでした。

実はベルデのお客さまには、教師や看護師、司法書士など「師(士)」がつく職業の方が意外に多いのですが、こんな風にツアー以外の場所でつながれるのは予想外。お引き受けしてよかったと改めて思った次第です。

始まった講演会では、コロナ禍で密を避けつつ、ベルデのアウトドアフィールド大台町の紹介から、アウトドア旅行会社を始めた経緯や実際の取り組みについて説明。またベルデが考える持続可能な観光振興のあり方についてもお話しさせていただきました。

せっかくなので、講演会でお話しした内容を少しご紹介しますね!

観光は経済のため、という意識を

1.プロのガイドに適切なフィーを払う

講演会では「観光振興の目的とは何でしょう?」という問いかけをさせていただきました。 

これについては、「地域の知名度アップ」や「移住促進」、「地域住民の生きがいづくり」などさまざまな面から議論されていますが、ベルデが観光事業者として一番大切にしているのは「観光は経済のため」という考えです。

仕事として観光に関わっているのですから、関わる人と長く持続的に観光振興をしていきたい。

そのためには当然、ベルデのツアーに関わってくれているガイドさんたちに、適正なガイドフィーを支払う義務があります。

彼らはサラリーを受け取るプロのガイドさんたちです。そのガイドの能力を維持し、ベルデのコンテンツの魅力に繋げるには、ベルデの事業と彼らの生活の両方が長く持続的に発展できるようにしなければいけません。

…と、大きなことを言いつつも、ベルデはまだまだガイドさんたちを通年雇用ができるキャパシティーではありませんので、今は「1件でも多くの仕事をガイドさんたちに回せるように」を目標に事業を行なっています。

2.ツアー料金の背景にある意識

プロガイドに適正なガイドフィーを支払うということは、相応の価格帯のツアーを販売する必要があります。

現在ベルデのSUPプログラムは大人半日 6,500円からとなっていますが、これは紀伊半島エリアでは高価格帯。とはいえ最初からこの価格だったわけではなく、マーケティングを繰り返しながら徐々に価格を高めていきました。

ベルデが重視しているのは、お客さまの数ではありません。

人数はわかりやすい目標値ですし、認められやすい数値ですが、自然を活用しているベルデとしては、極端にいえば、単価3000円で30人を案内するツアーではなく、単価3万円で3人を案内するツアーをつくりたい。

なぜならそれが、自然に対しても持続可能なツアー商品だと考えるからです。

大杉谷 堂倉滝
大台町の素晴らしい自然を守るためにも、持続可能なツアーをつくるのが大事

ありがたいことに、ベルデのツアーを利用してくださるお客さまは、自然の価値やガイドの能力に敬意を払い、自然の中で過ごすマナーがきちんとされている素敵な方がほとんどです。

これからもそうした意識の高い方々に来ていただけるよう、ツアー商品の魅力や質を高める努力を続けなければいけないと心しています。

地域資源の価値は、体験の価格になる

ベルデが1円でも高く商品を販売したいと考える理由には、もうひとつ大きな意識があります。

昔のクレジットカードのCMに「この体験はプライスレス」という決め言葉が使われていましたが、アウトドアツアーは価値を数値化できない体験(商品)です。

でもだからこそ、安売りをしてはいけない。

ベルデはよく「ブランディング=プライシング」という言い方をするのですが、「地域資源の価値=体験の価格」となるように、ブランド価値を高めたうえで、プライシング(価格設定)をする必要があると考えています。

そうしなければ、安さにつられた心ない観光客に美しい自然環境が荒らされてしまい、地域の人々からクレームが押し寄せ、「大台町に観光で経済を」なんて想いは無に帰してしまいます。

だからこそベルデは、WEBサイトやSNSを通じて大台町や清流宮川のアウトドアフィールドのブランドイメージを高めるよう努め、「訪れる価値がある、大切にされるべき地域なんだ」ということを発信し続けています。

さらには「ベルデが販売する価格が地域資源の価値を決めている」という責任を勝手に背負っているつもりで価格を設定しているのです。

ベルデ大台ツーリズムホームページ
実は動画もつくりました
フライヤーも頑張ってます!

価値があるからこそ、人が集う

ロケーションやそこで体験できるツアーに価値を感じれば、人は集います。

それは、観光客だけでなく、将来この資源を利用して仕事をしたいという若者も同じだと思います。

安い値をつけてボランティアガイドでしかできないような商品をつくっていては仕事にはなりません。

大台町は、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的としたユネスコエコパークのまちです。

人と自然が共生して、地域資源をつかって仕事をするプレイヤーが増えることが、経済的に持続可能な「ユネスコエコパークのまち」につながると思います。

またこの考えは、もしかしたら農産業や畜産業にも通じるのではとも想像します。

安く農産品を提供するのでなく、付加価値をつけて市場に売り込む。またそれを中間マージンを取られる農協のようなところに頼るのでなく、自社でブランディングをし高価格帯で販売する。そういう取り組みをしている人たちがは、いまの日本にもたくさんいます。

ベルデも同様に、「アウトドア体験」という見えない商品をこの考え方で「お仕事」にしているのです。

固い話になりましたが、ベルデの考え方を皆様にご理解いただけると嬉しいです!

この秋冬には愛知県や三重テラスでも講演

農業高校ではこのような内容を講演させていただきましたが、2021年はこのほかにも10月に愛知県でスポーツツーリズムに取り組む市からの依頼で、ワーケーションを中心としたベルデの取り組みをご紹介。また三重テラスさんが企画する、若年層に向けた「三重テラス大学」で持続可能な観光振興やエコツーリズムについてお話しする予定です。

身体を動かす仕事が大好きなベルデにとって、講演会などの依頼をいただける今の状況は、嬉しくもありご期待に添えているのか不安なところです。

ただ、旅行会社を立ち上げる前は大台町の観光協会の職員として働いていたこともあって、大台町の観光スポットを紹介したり、大杉谷登山の魅力や注意点、地図の読み方などのレッスンを担当するセミナーをさせていただいていました。

そうした経緯もあり、起業後も人前でお話しする機会を多くいただけているのかなと感じています。

また2021年には、三重大学と「自然環境リテラシー学」というアウトドアの授業を一緒にさせてもらいました。

この授業はとても面白いもので、受講する大学生は全員テント・キャンプ生活で10日間過ごしながら、合間にSUPやトレッキングといったアクティティを通して自然を体感。プロガイドであるベルデから、大台町のフィールドとアウトドアの技術知識を学んでいきました。

自然環境リテラシー学の様子を紹介したブログ記事はこちらから!

ベルデにとって嬉しいと感じることは、人の成長を感じ、自分自身も成長していると感じることです。得意かどうかは別として、講演会や自然環境リテラシー学のように、ベルデの仕事と教育に近いところが結びつくのは、とても嬉しくハッピーを感じるところです。

ベルデが大台町の観光事業者としてこれから何を成し、残せるのか。

まだまだ答えは出ませんが、いろんなお声がけをいただけることがハッピーだと心におきながらこの仕事をしていたいと思っています。


アウトドアの初心者から上級者までさまざまなフィールドを楽しむことができる三重県大台町。ひとりでも多くの人がスポーツジムへ行くような感覚で何度も訪れたいと思ってもらえるエリアになると嬉しいです。

アウトドアレジャーやスポーツがだれにとっても身近なものとなり、豊かな自然からエネルギーをもらうことで幸せな人生を送れますように。そして、私たちのガイドは、このアウトドアライフが「お仕事」になるような活動を続けていきたいと思います。

最後までお読み頂き,ありがとうございました。

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