SUP カヤック

川で冷蔵庫を釣る!プラスチックフィッシング大会

今年の12月は環境保全活動・SDGsについて向き合い、実践することが目標。LNT講習会での学びが冷めやらぬ12月17日(日)、Verdeが活動する宮川のBG海洋センターで「プラスチックフィッシング・テスト大会」が行われました。

このイベントを通して改めて整理した環境保全への行動についてベルデが思うことをまとめています。

〇「高校生にSUPを貸してほしい」

Verdeのアクティビティガイドを副業で手伝ってくれているMガイドから、暑い7月のある日、「高校生にSUPを貸してほしい」と相談がありました。

Mガイドは、伊勢志摩の地域課題の解決につながるソーシャルビジネス実践に取り組む「IXホールディングス」に勤務し、その活動で出会った地元の高校生が海洋ゴミ問題から「プラスチックフィッシング大会」を開催する企画がもちあがったとのこと。
(*プラスチックフィッシングとは、水辺に捨てられたゴミとなったプラスチック製品を釣り(回収)しながらその重量を競う大会。)

トップシーズンのアクティビティ事業が忙しいタイミングだったので、「ガイドとしてのお手伝いはできないけど、安全管理をMガイド1人でできる内容だったらどうぞ」、とSUPを貸したことがこのイベントへの関わり始めです。

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夏の宮川視察の様子

そして8月、宇治山田商業高校の生徒を数人連れてきて、SUPで宮川のゴミの状況をモニタリング。宮川でのプラスチックフィッシング大会開催、具体化に向けてあっという間に動き始めていきます。

Mガイドからは、こんな経緯を説明してもらっています。

■宇治山田商業高校の課題研究発表会で3年生による「プラスチックフィッシングのゲーム性を活かし若い世代にも海洋ゴミに関心をもってもらいたい」と発表。
■三重県の宮川 は「水質が最も良好な河川」に何度も選ばれて いたが 、ここ2年連続選出されず。その現状に対する解決に向けたアクションの第一歩 にしたいという地元の方々の想いも合わさり、宮川上流の三瀬谷ダムのある奥伊勢湖で実施。

IXホールディングスレポートより

とくに、この「アクションの第一歩にしたい」という想いは私にも強くあり、地域の自然を活用しコンテンツ化している会社としては、こうした活動に強く関り、さらにはリーダーとなり主動する義務があると常々考えています。このイベントを通して想いと行動を体系化できそうだという予感と、何より地域の若者が関わってくれること、Mガイドが全面的にアクションしていることと等、人とタイミング、目的が整理され、会社としても強く協力させてもらうことになりました。

〇毎日川にいるのだからゴミを拾えばいい?

私たちは、7~9月の3カ月間は、荒天以外ほぼ毎日宮川でガイドをしています。宮川中上流域・ダム河川がフィールドのため、川はダムでせき止められ静水域が続きます。大雨のあとは、山からのゴミ(流木など自然のゴミだけでなく人工ゴミも)が支流を伝ってプカプカ浮いてきます。また、水位が下がると岸壁にたまっているゴミが目立って露出しています。

ガイドの日常では、ゲストが浮いているペットボトルを拾い集めてくれることもあります。ただ、すべてのゲストは拾うところまでの善意の行動で終わり。

SUPやカヤックに載せたままのゴミを集め、泥を洗い流し、事業用のゴミに分別する。山を転がり泥がたまったゴミを、引き取ってもらえるまでのちゃんとしたゴミにするにはたいへんな時間と労力がかかります。それをともに仕事をするガイドさんへの追加の仕事にはできかねており、手が空いた時の私の仕事となっています。いつも泥を洗い流しながら考えることは、ゴミ拾いは個人・事業者単体の動きでなく、パブリックを含めた体系化が必要だということ。

何を伝えたいかというと、
そんなに環境保全のアクションをすべきと考えているのなら、毎日川に出ている私たちガイドがゴミを拾う活動をすればいい、という単純な想いと行動で環境が守られるのではないのです。もちろん、私1人、ゲスト1人の目の前のゴミは減るのですが、それは自己満足の域を超えず、持続可能な行動ではないということ。実際は善意と自己満足で解決するレベルではないほど川は汚れているということを伝えたいのです。

そして、宇治山田商業高校の生徒が着目した海洋ゴミに比べると、私が常時目にする宮川上流のゴミはほんの小さなものであることも残念ながら想像できます。ゴミの問題は対処療法だけでは解決せず、根本療法としての「教育」と「体系化」がセットなのです。

〇夏と冬、川に浮いているゴミの量が明らかに違う

ダム湖に浮いている人工ゴミは本当に多様で(沈んでいるゴミはもっともっと多様で想像すると恐くなります)、ペットボトルはもちろん一斗缶、ガス缶、ゴミ袋は常連、ずっしり重たくなったおむつを見つけたこともあります。ほとんどのゴミはダムの放流と共に下流へ流れていき、海のゴミとなります。一部が宮川の岸壁に残ったり、ダム直前の網にすくわれたります。

岸壁に残っているゴミは肥料袋や一斗缶、(イメージが悪いので表記したくないのですが)便器なんかもあります。生活ゴミが目立つため、地元住民の意識が低いからゴミが残る・・・とこれまではなんとなくで想像していました。が、今回のイベントでダムの管理者の中部電力やBG海洋センターの職員さんと情報交換するなかで、流れているゴミは「明らかに冬より夏のほうがゴミの量が多い」という声を聞き、この考えは間違いだったと訂正。

私たちの地域は、観光のトップシーズンは夏、来訪者数が1番多い月は8月、冬は閑散としています。来訪者数に比例して、ゴミが増えているという実際を見聞きして、観光に携わる会社としての責任もより強く考えるようになりました。

〇プラスチックフィッシング大会を宮川で開催

と、前段が長くなりましたが、12月17日、本番です。企画した宇治山田商業高校だけでなく、地元の昴学園高校の生徒も参加し、賑やかなイベントとなりました。協力企業として、宮川の水で美味しい水をつくっている会社「森と水を守る会」や、町1番の観光施設「奥伊勢フォレストピア」、大台町観光協会からも多大な協力をいただきました。

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参加の高校生たち!

前日までは12月と思えないほどの暖かい陽気で20℃を近い陽気が続いていましたが、この日は寒波が到来し、風速は5mを超える予報。中止も視野に入れながらの厳しい日となりました。シングルSUPやカヤックでのゴミ拾いは中止し、漕ぎ手がたくさんいるメガサップとボートだけをつかっての安全ショートVer.での開催です。

厳しい日でも、目的もって参加している生徒さんの活力は素晴らしく、なんと大物家電「冷蔵庫」をSUPで釣りあげ、このチームは重量はもちろん、オリジナル賞も獲得です。

杞憂していたゴミを拾って終わり・・・ではなく、参加者が洗浄・異物除去・分別し、リサイクルできるものはリサイクルするまではもちろん、協賛企業の株式会社REMAREさんと、環境啓発につながるアップサイクル製品づくりまでを視野に入れた、まさに体系化された素晴らしい取組です。

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拾うことが目的ではありません

そして、環境保全の取組を若者が先導することで、たくさんの大人がこのイベントに興味をもち、イベントを見学にきて、感心して励ましてくれました。このフローは企画や参加した若者への教育以上に、それを見守り、このイベントを見聞きした大人への教育だと思っています。

まさしく、根本療法としての「教育」と「体系化」がセットとなったこのイベント。Verdeがやるべき事業としての大きな一歩であることはもちろん、私個人のSDGsへの向き合い方としても、たいへんな学びがありました。実務として動いてくれたMガイド・宇治山田商業高校の企画運営担当生徒さんたちに本当に感謝しています。


プラスチックフィッシングin 三瀬谷ダム「テスト大会」
主 催: IX ホールディングス株式会社
共 催: 株式会社Verde 大台ツーリズム
運 営: 三重県立宇治山田商業高校
協 力: 大台町B&G海洋センター、中部電力株式会社、三重県立昴学園高校、株式会社REMARE
協 賛: 大台町観光協会、奥伊勢フォレストピア、NPO 法人クリアーストリームリバー
有限会社森と水を守る会
会 場:大台町B&G海洋センター(〒519-2405 三重県多気郡大台町弥起井363)
参加者: 宇治山田商業高校、昴学園高等学校生徒他、30 名

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