大台ケ原

アウトドア

「新緑の大台ケ原」西も東も温泉も

今回の記事は、毎年恒例になってきた大台ケ原のガイドツアーの様子を紹介します。

ベルデの登山といえば「宮川の最上流域・大杉谷での登山ガイドツアー」です。特に、大杉谷~大台ケ原2泊3日の縦走登山ツアーは大人気。参加のゲストから次は大台ケ原もゆっくりガイディングしてほしい、との要望から生まれた「大台ケ原・西も東も温泉も」ツアー。3年目の今年も充実の内容でしたよ。

6月初旬、雨が心配な時期ではありますが、そこは「弁当忘れても傘忘れるな」と言われる大台ケ原、と覚悟して、しっとりと雨に濡れた美しい森を楽しみ、雨も魅力に繋げながらのガイディングができます。

西大台ケ原は「利用調整地区」・入山申請が必要

大台ケ原は、吉野熊野国立公園内にあり、トウヒやブナなど紀伊半島では貴重な森林生態系が残る地域です。これらの樹木がつくりだす静寂で原生的な雰囲気がこの地域の魅力ですが、大台ケ原は様々な要因で森林の衰退が進んでいます。特に西大台ケ原ではその兆候が顕著なため、利用者増加による様々な影響が懸念されていることから、利用調整地区と指定されました。

まず、入山には「申請・それに関わる手数料納付(1人1000円)」が必要です。

事前手続きをすると、「立入認定証」が発行されます。この認定証をもって入山前に大台ケ原ビジターセンターにて「事前レクチャー」を受講します。

こんなふうに、入山前に少々面倒な手続きが必要ですが、登山計画段階で調整地区になった経緯や利用のルールを知っておくことも登山者としてとても大切なこと。自然のなかで楽しませてもらうアウトフィッターの責任でもありますね。

通常の登山ルールマナーと異なることをまとめると・・・

  • 事前申請(登山前に余裕をもって) → 認定 → 事前レクチャー受講(登山当時でOK)
  • 1日あたりの立入人数は、シーズンにより違います。30~100人までと制限されている
  • 10人を超える団体行動は禁止
  • 入山前・登山中は環境省の巡視員の方の指導があります
  • 緊急時のトイレは指定の場所で(テントトイレが設置されています)
  • 詳細は環境省による「吉野熊野国立公園大台ケ原」ページへ

大台ケ原、とっても魅力的なツアーコースです

登山前の話が長くなりましたが、もちろん、今回も、大台ケ原は西も東も魅力的なツアーとなりましたよ。

初日にまわる東大台ケ原は、森ガイドならではの秘密のルートつき。ルートはアップできませんが、ベルデのお気に入りは、森林軌道跡。かつて日本の林業を支えた森林軌道がその役目を終え、長い時を経て森の奥へと還りつつある軌道跡は、静かに過去の歴史を今に伝えてくれているよう。

秘密のルートから東大台の絶景、大蛇嵓へ。高所恐怖症の方にはスリルに包まれる場所です。足元は断崖絶壁の上にあり、眼下には遥1000mの深い谷底。視線を遠方に向けると、遮るものがない大パノラマが広がっています。

2日目は利用調整区の西大台ヶ原へ。今回も少しだけ雨が降ってきましたが、雨に濡れた西大台ケ原はさらに神秘的な姿でした。しっとり濡れた森全体が、生命力に満ち溢れていること、そして何より自然と一体になったような「静寂な時間」を味わうことができました。

雨は登山を躊躇させますが、西大台ヶ原では、雨こそがその本来の美しさを引き出す要素と再確認してきました。(注意:渓谷登山になる「大杉谷」は雨の日は危険です)

宿泊は、大台ケ原にある唯一の宿「心・湯治館」でお世話になります。温かい食事とお風呂もあり、登山ツアーとは思えない贅沢さです。夜は、いつもの「森レクチャー」もツアーの魅力。

レスポンシブルツーリズムという考え方

アウトドアな旅行会社としてのベルデは、出席する地域の会議体において「美しい宮川と流域地域において、観光誘客・環境負荷・経済需要をバランス化させる仕組みをつくる」ことを頻繁に意見しています。この考え方のベースになるのは、常に「地域はどんな人に来てもらいたいのか」と思考し表現すること。

「来てもらいたくない」と規制するのではなく、「こんな人に来てもらいたい」という明確なメッセージを表現すること。西大台ケ原の利用調整区では、「利用ルールを守る方」とわかりやすく表現され、申請・事前レクチャーの段階で利用のルールがしっかり伝えられています。

来てもらうひと=来訪者は単なる観光客ではなく、観光を構成する主体のひとつ。意識・行動に一定の責任をもつことがよりよい観光地・自然を残していく方法というレスポンシブルツーリズムの考え方ですね。

今回紹介している西大台ケ原の「利用調整地域」としてのルールは、環境保護のための取組ではありますが、私は同じような取組がベルデが主フィールとしている地域にもあるべきと考えています。それが自然保護だけでなく経済に貢献する仕組みであり、その考えに賛同する方々と共に地域を守り、つくっていけると思います。こうした仕組みをつくっていくことは、私たち地域側責任でもあるとも思っています。

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