SUP カヤック

ファーストレスポンダーとしてのガイド

2023シーズンのアウトドアプログラムは11月末で終了。すぐに所属する日本山岳ガイド協会の研修として、4日間立山(富山県)にある国立登山研修所に籠っていました。

「国立登山研修所」ってかっこよくないですか?

ファーストエイドのアドバンス講習会でもあり、講師陣はレスキューカーやレスキューヘリに乗る医師や、山小屋診療所に常駐する医師であり、その専門的な知見を山岳や登山ガイドの立場に落とし込んでの講習です。また、北アルプスや冬の雪山などの山域をガイドエリアとしている、高い職能のガイドと共に講習を受けられたこともとても刺激的です。このガイド仲間からも学ぶことが多く、ベルデ自身の力量や経験を客観視できる希少な機会でした。

レスキューとファーストエイドは違う

仕事やプライベートで登山に関わると、「レスキュー」というワードをよく耳にします。レスキューのためのロープワークトレーニングをしなければ…なんて、オフシーズンには思い出したようにロープに触ったり・・・。一方、「ファーストエイド」は、アウトドアの現場だけでなく、例えば学校現場でもよく耳にし馴染みがあるのではないでしょうか。私も体育教師時代は、夏休みにファーストエイド研修を受講したり、保健の授業でAEDの講習会の段取りをしたりしていました。

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ベルデでロープワークは冬の風物詩 これはレスキュートレーニング

レスキューとファーストエイドは、緊急時に人々を助けるための異なるアプローチですが、一部の状況では両方が必要とされることもあります。

▶レスキュー(Rescue)
レスキューは、危険な状況や災害、事故などで困っている人々を安全な場所に移動させる行動を指します。例えば、火災、地震、洪水などの災害が発生した場合、人々を危険から遠ざけ、安全なエリアに移動させることがレスキューの主な目的です。レスキューには、消防士、救助隊、警察官などが関与することが一般的です。

ファーストエイド(First Aid)
ファーストエイドは、緊急の医療状況において、怪我や病気の被害者に対して即座に応急処置を行うことを指します。急な心臓発作、意識喪失、出血、骨折などの状況に対して、訓練を受けた人が最初に行う応急処置がファーストエイドです。ファーストエイドの目的は、被害者の生命を安定させ、症状の進行を抑制し、専門の医療機関に到達するまでの時間を稼ぐことです。

要約すると、レスキューは危険な状況から人々を安全な場所に移動させることを目的とし、ファーストエイドは急な医療状況において被害者に対して即座に応急処置を行うことを目的とします。

ファーストレスポンダーとしてガイドに求められること

アウトドアを主戦場とするガイドは、その活動エリアゆえにさらに大きな影響を傷病者に及ぼし得る存在です。事故があったとき、ファーストレスポンダーとして、より長い時間、より厳しい環境で傷病者への対応を強いられることも当然想定されます。

比較的症状の軽い傷病者に対して、どのような判断を下すべきか。また、他のゲストの感情や以後のガイド計画など複雑な要素が絡む問題に直面します。「救命」のような劇的なケースは稀かもしれませんが、早期の救助要
請によって病状の悪化が防げた、早期の手術で早く退院できた、というようなケースは少なからず発生しうる、という重大な責任をもっていると自覚し、日々仕事をすべき、と改めて深く自覚しました。

野外ファーストエイドにおいて、ガイド=「ファーストレスポンダー
に求められることは、
異常が認知できる
・危険な状態(である可能性)を想起認識できる
・やったほうがよいこと、やるべきこと、やってはいけないこと を認知実行できる

研修会より

やれないことを自覚することで

繰返し伝えられた「やったほうがよいこと、やるべきこと、やってはいけないこと」に加えて、「傷病者を救えないと評価・判断することで、他のゲストを危険から守れることがある」という言葉がとても印象に残っています。

4日間の研修では知識を享受する講義と実習を繰り返した後、フィールドに出てシナリオトレーニングも繰り返し行いました。いくつかの状況をガイドの立場でどう評価・判断していくかという実践に近いトレーニングです。

実践とフィードバックを繰り返すなかで、受講生からロープワークや運搬などの際、「マインドマップ」がないとスムースに実行できない、という言葉が出て、とてもとても腑におちました。緊急時の現場(私はこのトレーニングの場でもですが)では、必ず一度、頭が最初真っ白になる。最初にやるべきこと、安全の確認と傷病者の評価からしっかりマインドマップをつくるべくシナリオ実践を繰り返すトレーニングを定期的に行わなければ、と強く思っています。

研修会としての知見に関わることでもあるので、詳細な内容は控えますが、お土産と宿題はたくさんもらっています。来期からのガイド現場のFA装備には必ず入れておきたいメモ。このメモをつかってFAの評価・判断がができるようマインドマップをつくるトレーニング積み、安全で楽しいガイドツアーを提供する熱い決意です。

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安全を確保したなかでABCD評価
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雪山を想定してのファーストエイド

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